ぴーちくぱーちく夫婦が北海道を好きになる前にお気に入りだったのは沖縄です。共働きで早朝から深夜まで猛烈労働者だった頃、年に2度くらいは沖縄に行って自分たちを癒していたものです。
さて、沖縄と北海道に共通する点が1つあります。それは、読むのが難しい地名があること。

道北を巡る旅をするなら訪れたい場所がありました。音威子府です。


「おといねっぷ」という響きが魅力の音威子府村
音威子府(おといねっぷ)。町の名前だけで惹きつけるものがあります。アイヌ語の、「濁りたる泥川、漂木の堆積する川口、または切れ曲がる川尻」という意味だそうです。
音威子府の特徴は、
北海道内有数の特別豪雪地帯で、降雪量は1シーズンで10m以上に達する
音威子府駅の1日平均利用者数は34人(2016年)
どんな街なのか?ワクワクが止まりません。
道の駅音威子府で音威子府そばを食べます。これ、黒い蕎麦なんですよ。黒い色をしていると塩辛そうな印象を持ってしまうのですが、全くそんなことはない。いいお味の蕎麦でした。
音威子府でしか食べることができない黒いお蕎麦、不思議ですねぇ。
道東オリジナルラベルの缶コーヒーが自販機で売っていたり。味は普通の缶コーヒーでした。
音威子府駅です。利用者数は少ないのですがとてもキレイな駅舎。
音威子府駅舎内に音威子府蕎麦の有名なお店があります。
休業中だったので伺うことはできませんでしたが。駅舎の中に宗谷本線の観光列車「かぜっ子そうや号」の展示スペースがあり無料で資料を見ることができます。


幌延町から豊富町へ
音威子府からこの日に宿泊する宿までは立ち寄り観光スポットをササッと紹介。
トナカイ牧場から幌延深地層研究センターへ
幌延はトナカイ牧場を目指しました。
しかし、暑い日だったせいか遠くの日陰で休んでいるトナカイの様子をフェンス越しで見るだけでした。入場料は無料だけど、トナカイ目的で行ったぴーちく(夫)としてはちょっと残念。
さっさと幌延を出発しようかと思ったのですが、少し目線を上げるとこの地にそぐわない高い建物が見えます。
幌延深地層研究センターは、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発を行うことにより、地層処分の技術的な信頼性を実際の深地層での試験研究等を通じて確認することを目的
とする施設だそうです。
研究センターには、「ゆめ地層館」という研究内容を紹介する施設が併設されているので、そちらに入館しました。
理解するのが難しそうな展示物が多くありましたが、ところどころ職員さんがいて、質問すれば答えてくれそうな雰囲気です。
この後で豊富温泉に行きたいので質問するのは遠慮してさっと見ただけで退館しました。深度250メートルの地点にある調査坑道の見学会もやっているそうなので、次回はそちらへ参加してみたいものです。
豊富温泉
幌延を発って、石油の匂い漂う不思議な温泉、豊富温泉へ向かいます。
豊富温泉で供用されている温泉には、含よう素-ナトリウム-塩化物温泉(弱アルカリ性高張性温泉)と含よう素-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉(弱アルカリ性高張性冷鉱泉)の2種類の泉質があり、いずれも黄濁し、井戸からは石油や天然ガスとともに湧出してくるため僅かに油分を含んでいます。
(お湯の特徴)


石油の臭いで気持ち悪くなるかも
身体に石油の臭いが付いてしまって他人に迷惑をかけるかも
と不安を抱えながら温泉に入ったのですが、心配無用でした。入浴に覚悟が必要なほど臭いが強いわけではないし、タオルを温泉に漬けるわけではないので臭いがタオルに残ることもありません。
石油成分のおかげでお肌がすごくツルツルになりますよ。
サロベツ原野
豊富温泉を出発。
道路で佇んでいるウシ柄の馬に遭遇したりしながら、サロベツ原野へ向かいます。
ラムサール条約にも登録されている広大な湿地を有するサロベツ原野。見渡す限りの湿地と地平線で、北海道の雄大さを感じることができる場所だと思います。


サロベツ「原野」という名前からして、歩くのも大変な場所を想像していました。サロベツ原野散策のために、トレッキングシューズまで準備していたのですが、歩きやすい木道の整備された場所でした。スニーカーを履いていれば大丈夫!
ちょうどエゾカンゾウという黄色い可愛い花が咲き乱れている良い季節です。
写真に撮ると広大な草原の雰囲気を伝えることができないですね。残念!
2日目の宿:あしたの城に滞在
前日に宿泊した美深にあるファームイントントから稚内までは150キロ。
観光しながら移動するには少し距離が離れているので、稚内の手前で宿泊することに決めていました。しかし、このあたりは宿泊施設が少ないのですよね。楽天トラベル、じゃらん、ヤフートラベルを駆使しても見つけることができない。
最終手段のグーグルマップで調べてみたら出てきました!
サロベツ原野の近くにあって、抜群の眺望も楽しめそうな宿です。
宿泊施設の区分としては「とほ宿」と呼ばれるものです。
そのスタイルは、民宿、ゲストハウス、ペンション、ロッジなど多種多様です。ただ共通して言えるのは、ドミトリー(男女別相部屋)の部屋があること、宿泊客同志が交流しやすいフリースペースがあること、定員の少ないアットホームな宿であること。そして、どの宿も全国各地から訪れる人たちを温かくもてなしてくれるということです。
(とほ宿とは)
あしたの城は宿というか実家
念のため事前に予約しようとぱーちく(妻)が電話をすると、宿主さんらしき人が受付してくれます。




電話で予約する段階で宿主さんの強めの個性をビシビシ感じました。これは、宿主さんの強めの個性が吉と出るか凶と出るか、ドキドキするやつです。
宿は本当に眺望抜群の場所にありました。サロベツ原野から車でスグの場所です。そして、宿に入るとスグに、予想していた通りの宿主さんの強めの個性を浴びることになります。
まず、宿主さんは上下グレーのスウェットで出迎えてくれました(笑)次に、入館前に手指の消毒液スプレーを噴射してくれながら「こういうの嫌なんだよねぇ」なんて宿主さんは愚痴をこぼすのです。
自分の実家に帰ってきたのか?と勘違いするくらいの自然体で迎えられたのでした。
さらに実家感は強くなります。
共用スペースで景色見ながら持ち込んだぴーちくぱーちく2人でご飯を食べていると、宿主さん夫婦が隣でテレビを見始めました。宿主さんは寝転んでお腹を書きながらテレビ見てます。そして、たまにこっちに話掛けてきます。しかも、女性に聞かせないほうが良さげな変なネタをたまにぶっ込んできます。


布団は自分で敷く方式だし、滞在するに当たって細かなルール(ごく普通のルールです)を守る必要があるし、チェックアウト時間まで冷蔵庫に残してしまったビールは宿主が飲むことになるし。
ビジネスホテルではあり得ないことだけど、実家に滞在していると思えばそんなもんだろうし、だからこそリラックスした時間を過ごすことができました。
共有スペースから眺めるサロベツ原野方向の景色はすごかった!


(まとめ)個性の強い宿が旅を鮮やかに彩ってくれました
移動距離は150キロと少なかったのですが、見どころ満載で時間が足りないくらいでした。豊富温泉付近で1泊しても良かったかな。
最終的に合計9日間に渡る旅行となったのですが、今振り返っても、ファームイントントとあしたの城に滞在した旅のスタートが今回の旅のクライマックスではないか?と思うくらいに強い印象が残っています。
これ以降は、「どうみん割」が適用される施設が多かったこともあり、基本的にビジネスホテル中心に泊まることになりました。ビジネスホテル滞在は確かに快適です。しかし、宿泊をしたという事実を記憶はするものの、宿泊の中身・質を思い出すことはあまりありません。あったとしても、部屋がキレイだったとか、そんなスペックの記憶。
対して、民宿・ゲストハウスのような宿泊施設は、宿泊施設で過ごした時間(たとえば宿主さんとの会話とか)もめっちゃ思い出します。ぴーちくぱーちく夫婦は、ファームイントントやあしたの城で過ごした時間のことを今でも思い出しています。
コロナウイルス感染症の広がりで民宿・ゲストハウスの類の宿泊施設は苦境に発っているという話も見聞きします。せめて自分が旅行するときは、このような施設も積極的に利用したいと思いました。
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